分野
西洋中世教育史、宗教社会史
研究課題
「15世紀ドミニコ会における大学学位の意義」
研究のキーワード(五十音順)
学位、厳修派、教皇、神学部、大学、托鉢修道会、ドミニコ会
研究の対象となる時代
13世紀~16世紀初め。ただし中心は14世紀後半~15世紀。
研究の対象となる地域
南フランスおよび北・中部イタリア
研究課題の要旨
西洋において大学神学部が急増した15世紀に、ドミニコ会と神学学位の関係がどのように変化したのかを、制度・経済・思想の三つの視点から解明する。
①制度的側面
15世紀ドミニコ会が打ち出した学位取得制限政策の展開を追うことで、学位を巡る修道会中央と地方管区の意見対立や、学位取得拠点と純粋な内部教育拠点の住み分けといった、学位問題を通じての修道会学校組織の再編成過程を明らかにする。
②経済的側面
学位が持つ経済的な意義に注目し、学位保持者が修道会内外で享受した経済的・物質的特権の変遷を解明することで、制度的視点と思想的視点の接続を図る。
③思想史的側面
清貧理想の強化を志向したドミニコ会厳修派改革運動の、学位に対する態度に焦点を絞る。すなわち、修道会内部に極端な格差を作り出し、その取得の過程において修道士と世俗権力の不適切な癒着をしばしば引き起こす学位というものに関し、改革派修道士たち及びその反対者がいかなる言説を紡いだかを、彼らの著作から分析し、制度的・経済的前提と思想的展開との相互関係を明らかにする。
以上の目的のため、ドミニコ会に関し、制度的・経済的史料として修道会総会記録、地方管区会議記録、総長書簡などを、さらに思想的史料として説教・討論・年代記など修道士の著作を分析する。